「被害者参加制度」とは、一体どのような制度なのでしょうか?

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参照元: 被害者は刑事裁判に参加することはできますか?被害者参加制度とは?|みどり総合法律事務所

アドバイス

単に裁判を傍聴するのでなく、被害者がその裁判に参加することを、「被害者参加制度」と言います。具体的に、被害者参加人は、次のような権利が認められています。

被害者参加人ができること

被害者参加制度を利用すると、以下のようなことが可能です。

  • 公判期日に「出席」し、検察官の横などに座り、裁判に参加できる。
  • 検察官の権限行使に関して意見を述べて、説明を受けることができる。
  • 証人尋問ができる。
  • 被告人に対して質問ができる。
  • 事実関係、法の適用について意見を言える。

無論、これらはあくまで「権利」であり、そのすべてを行使しなければならないものではありません。すべては行わず、一部を行うという、部分的な権利の行使も可能です。一切これらのことを行わないという形での被害者参加も可能です。その場合、被害者参加する意味はあるのか、と思われるかもしれませんが、公判前から証拠を見られたり、コピーができたり、検察官から情報を得ることができたりと、メリットは数多くあります。

――とはいえ、何をするにせよ、このような活動を適切かつ有効的に行うには法を熟知した弁護士の助言が不可欠でしょう。被害者参加については、弁護士に相談してください。

被害者参加ができる事件

すべての事件で被害者参加制度が利用できるわけではありません。一部の事件に限定されます。具体的には、次の通りです。

  • 故意の殺人、傷害など
  • 強制わいせつ、強姦などの性犯罪
  • 自動車運転過失致傷など
  • 略取、誘拐、人身売買の罪

これらの未遂罪でも被害者参加が可能です。その被害者本人が未成年の場合には、法定代理人(多くの場合は親)が子どもの代わりに被害者参加することができます。または、被害者本人がすでに亡くなっている場合や心身に重大な問題があり参加できない場合は、その配偶者、直系親族、兄弟姉妹も被害者参加を申し出ることができます。

ただし、被害者参加制度利用は、その申出の段階から複雑ですので、事件の概要も含めて事前に弁護士に相談しておく方が賢明でしょう。

被害者参加人として裁判に有効な意見を述べるために…

裁判官・裁判員に向かって、被害者参加人が直接意見を述べる制度としては、二つの種類があります。一つが「心情に関する意見陳述」、もう一つが「事実または法律の適用に関する意見陳述」です。後者は「被害者論告」とも言われます。

このうち「心情に関する意見陳述」では、すなわち、被害者が感情的に意見を陳述することが認められます。犯罪被害に遭った悔しさ、怒り、悲しみ、苦しみなど、そのような被害者の意見もやはり、量刑を決める上で一定程度参考にはされます。また、心情に関する意見陳述は、被害者参加していない被害者も、裁判官に対し述べることができます。

「被害者論告」は、主には事実関係について、被害者から意見を言える制度です。また犯人に対してどのような根拠からどれだけの刑を求めるか――すなわち求刑についても、被害者から意見を言うことができます。

ただし、そのいずれも、裁判の中で裁判官・裁判員に確かに受け入れられ、量刑に響くものとして参考にされるためには、やはり、法を熟知した弁護士の助言が不可欠です。ただ被害者として感情をむき出しにするばかりでは、効果はないかもしれません。

質問の内容を決める上でも弁護士が役立つ

被害者参加制度では、参加人は、被告人に対して質問をすることができます。

しかし質問の形式は自由というわけではなく、検察官にあらかじめ問いたい事項について示しておき、裁判所から許可を受けなければなりません。起訴事実を関連することであれば、その事実関係、情状関係について、裁判所の許可を取っておけば何でも質問できるのですが、それがやはり裁判の流れの中で「有効」となり得るかどうかは、難しいところです。

証人尋問でも同様のことが言えますが、やはり、弁護士の“知恵”は必要でしょう。

まとめ

  • 被害者参加制度を利用すると、被害者が裁判に出席して意見を言うことなどができる。
  • 被害者参加人は、そのすべての権利を行使しなければならないわけではなく、たとえば被害者に質問するだけといった形での被害者参加もできる。
  • 被害者参加ができる事件は限定されている(殺人事件、性犯罪…その未遂罪など)
  • 本人が未成年の場合は法定代理人が被害者参加人として裁判に出席できる。
  • 被害者参加制度を有効に利用するためには、法を熟知した弁護士の助けが必須。
  • 被害者には、裁判官と裁判員に対して直接意見を述べる機会として「心情に関する意見陳述」と「被害者論告」が認められている。
  • 被害者参加人は、被告人に対する質問、証人尋問もできるが、裁判において有効な質問を準備するために、弁護士の知恵は不可欠。

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