Q. 交通事故に遭ったのですが、すぐに必要なお金は加害者から先に支払ってもらうことは可能でしょうか?また、損害賠償請求権が認められる期間についても教えてください。
A. 交通事故に遭ったときには、被害者は、治療費や通院費などをすぐに支払わなければなりません。また、怪我によって仕事を休んだときには、生活費である給与がストップすることになり、すぐに補償してもらわなければ、これまで通り生活していけなくなります。
「症状固定」や「後遺障害認定」などとも言っていられず、被害者としては、とりあえず当面必要なお金を支払ってほしいのが心情でしょう。ご安心を。内払い制度があります。
交通事故の「内払い金」とは
最終的にまとまった額の賠償金が支払われるのを待っていては、交通事故の被害者は病院で充分な怪我の治療が受けられなかったり、まともな日常生活が送れなかったりします。
そういった問題に対応して、保険会社は「内払い制度」を設けているので、これを利用しましょう。内払い制度とは、損害賠償の総額が最終的に確定する前でも、保険会社が治療費や休業損害の支払いを行う制度のことです。具体的にその対象となるのは、治療費、入院雑費、通院交通費、葬儀費用、休業損害など。もちろんこの内払い金は、最終的に賠償金が確定した段階で、すでに受け取った額として総額から差し引かれることになります。
損害賠償権の時効について
内払い金をもらえば当面の生活は保障されますが、しかし、あまり悠長に考えてはいけません。相手方に損害賠償を請求する権利については、法律で定められた消滅時効があります。つまり、決められた期間内に賠償請求しなければ、被害者はその権利を失うのです。
この消滅時効が問題となるのは、まず「自賠責保険の保険金請求権」と、それから「加害者に対する損害賠償請求権」の二つと考えられます。それぞれ消滅時効は次の通りです。
「自賠責保険の保険金請求」の時効
*近年の法改正で適用された時効です。
(平成22年4月1日以降に発生した交通事故に関して――)
死亡による損害:事故の日から3年
傷害による損害:事故の日から3年
後遺障害による損害:症状固定に達した日から3年
「加害者に対する損害賠償請求」
死亡による損害:死亡日から3年
傷害による損害:症状固定に達した日、又は治癒日から3年
後遺障害による損害:症状固定に達した日から3年
物的損害:事故の日から3年
それぞれ、交通事故の損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が「損害を知ったとき」から3年で消滅時効にかかります。
ただし、それとは別に「除斥期間」の定めもあり、「損害を知ったとき」に関わらず、事故の起きた日から20年以上経つと損害賠償請求はできなくなります。
まとめ
- 治療費や休業損害は「内払い制度」を利用すればすぐに支払ってもらえる。
- 交通事故の損害賠償請求権には時効がある。